富士山のイメージ

環境について考える。

私たちは富士山を中心に自然体験活動を企画・運営しております。
自然の中へお客様をご案内する立場として、さらには次の世代のために積極的に環境問題に取り組んでいきたいと思います。

現状の世界は永続不可能。永続可能な社会に移行するための時間は急速になくなっている。
もはや対策を先延ばしにすることはできない。

1999年9月 国連環境計画 (UNEP) 「地球環境概況2000」の結論

私たちの問題

日本の環境に対する現状は… モノや情報が豊かになった現代。その代償としてどんどん自然環境が悪化しています。
いろいろなことが便利になればなるほど機械が働き、人間が楽をします。そしてCO2が増えていきます。
では、私たちは環境に対して何ができるのでしょうか?
また、我が国の代表的な山、私たちの愛する富士山では環境にどのような変化が起きているのでしょうか?

残念なことに日本は「最も経済で成功した国」であり「環境で最も失敗した国」でもあります。 私たちはそんな国民の一人なのです。
今、ヨーロッパ諸国では国をあげて環境問題に取り組んでいます。私たちからは想像もできないほどその 取り組みは進んでいるのです。
戦後の貧困から現在に至るまで日本は目覚ましい発展を遂げ経済大国に成長しました。国が豊かになり、 生活が便利になった代償として
環境破壊が進みました。これから日本を担うであろう子供達にその”負の遺産”を残してゆくことは大きな間違いだと思います。
今現在、いろいろな意味での恩恵を享受している私たち一人一人が意識を持って取り組まなければならない 問題だと思います。

富士山で起きていること

我々が生活している富士山周辺ではどうでしょうか?見た目にはとても美しい山です。
山梨県と静岡県が富士山の世界文化遺産の登録実現に向けて様々な努力をしています。
最近の”エコ”ブームで富士山周辺でも清掃活動や啓発活動が盛んに行われています。
とても良い傾向だと思っています。ところがそんな状況の中、あろうことか未だにゴミを捨てる人が後を絶ちません。
自然保護団体等が清掃した後でも同じ場所にまたゴミが捨てられている現実を私たちは目の当たりにしています。
きっと「自分たちさえ」の考え方なのでしょう。ゴミを捨てる人も以前よりは減ったような気がしますが、
現段階ではイタチごっこが続いているのが現状です。

数年前のことですが、富士山の山中から大量の不法投棄が見つかりました。国立公園の中に不法投棄する
こと自体が日本の遅れた環境対策の象徴ではないのでしょうか?


私たちが感じる富士山周辺の温暖化

ここ数十年、ずいぶん気温が上がっているように感じますが、実際には50年間で平均わずか0.3℃の上昇だとのことです。
今のままでは今後100年で平均4℃の気温上昇が予測されています。
わずか0.3℃でこの状況ですので4℃だとどうなるのでしょう?想像できますか?

今から30年ほど前のこと、私たちが子供の時の話です。もともと標高の高いこの地域は冬になると厳しい寒さが続きました。
私たちが肌で感じた温暖化は以下の通りです。すべて事実です。

(30年以上前)
 夏の最高気温は25℃ほどで本当の意味での避暑地として行楽客を迎え入れていた。

 冬の最低気温が−15℃ぐらいの日が続き、富士五湖それぞれの湖での結氷・全面結氷が当たり前であった。
 厚いところでは30cm以上凍っていた。氷上では氷に穴を開け、わかさぎを釣る光景が冬の風物であった。
 地元の子供達は凍った湖で日が暮れるまでスケートを楽しんでいた。

スタッフメモ

子供の頃には湖の上を軽トラックが走っている光景を何度も目撃しました。また、地元の中学校の校舎裏の日当たりの悪い場所に木枠を組み水を流して天然のスケートリンクを造っていたりしました。

(現在)
 夏の気温は30℃を超える日も珍しくなくなってきた。それでも都心から比べると涼しく感じる。
 冬の最低気温は冷え込んだ日で-8℃〜-10℃ぐらいにまで上昇してしまった。結果、子供の頃に見た湖の結氷  
 はほとんど見られなくなった。面積の小さな精進湖で薄氷、標高の高い山中湖で一部結氷が見られる程度である。
 凍った湖の上で遊ぶことは遠い記憶になりつつある。季節を通じて体感温度が5℃以上に上がっている。

 温暖化以外にも
 湖水の透明度は上がったが一部の湖では生態系が変わったり、宅地や商業地の開発により森林が伐採され、
 居住域が富士山の方へ広がっている等が挙げられる。


ここでちょっと…

スタッフメモ

先住民族の生き方

ネイティブアメリカン等、先住民族の村は何百年、何千年と安定して暮らしてきました。
そこには多くの掟(おきて)がありました。そしてずっと子孫に語り継がれてきました。
「多くの木を切るな」「多くの生き物を殺すな」「一人占めするな」…
そしてその掟を破るとたたり(死)があると信じていました。

先進国では迷信として無視してきましたが…
しかしその掟は彼らの長年の経験による知恵であり、自然の知恵、生存の知恵であったのです。
長く自然の中で自給自足をして暮らしてきた先住民族たちは、生存の知恵を守りながら生き残ってきたのです。

今の私たちの生活や自然環境と比べてみると…いろいろ考えさせられますね。

ガイドとしての取り組み

人と自然の間にいる私たちの立場は… 私たちがガイドとしてできることとは?

自然のことや環境に対する意識など伝えることの大切さや難しさ とどのように向き合い、どのようにアクションを起こせるのか?
小さな事でも続けることによって着実に何かが変わるような気がします。

私たちは「自然」と「人」との間にいる立場だと認識しております。人間も自然の一部として考え、ガイド ひとりひとりが環境市民
(グリーンコンシューマー)の自覚を持って自然活動に取り組んでいます。
私たちは世間から見れば小規模なグループです。ツアー活動当初からウェブサイトでの清掃活動募集をして いましたがなかなか人数が
集まらないのが現状です。

私たちは富士山を題材にしたガイドトークでお客様に環境問題に対する意識を高めていただき、旅の思い出とともにメッセージやヒントを
お持ち帰りいただくよう環境意識の啓発(広める)活動を行っております。
とても小さなことですが、そのメッセージやヒントがお客様それぞれの周辺地域の環境問題について考えていただくきっかけとなり、
そしてそのお客様からさらに周囲にその意識が伝われば願ってもないような成果が得られる可能性があるとも思っております。

私たちは2001年から毎年、身近な環境問題であるゴミ対策として清掃活動を行っております。20リットルのゴミ袋をバックパックに
ぶら下げて足元のゴミを拾いながら歩くという単純作業です。
通常、1日で拾う量はそれほどでもありませんがシーズンを通すと毎年200個以上になります。
単純に換算しても4,000リットル以上になります。
まさに塵も積もればで何年も続ければこれもまた一つの成果となります。

続けてみて思ったことなのですが、大変残念なことにこのゴミの量は毎年ほとんど変わりません。ゴミの量が年々増えるよりは良いのですが、
減っていないのが現状です。近い未来に「今年はゴミが少なかったね。」と言えるような日が来ることを望んでいます。

またツアー中でもできるだけのゴミ拾いはしております。それを参加した子供たちはよく観ています。観ていることを私たちも承知しています。
私たちは子供達に対して特にゴミ拾いはお願いしておりません。ところが子供はわざわざ周りからゴミを探し私たちに届けてくれます。
(正直、とても感激します。) 私たちは子供にゴミを拾わせることを目的としていません。子供が環境のことに気付いてくれることが本当の
ねらいなのです。子供達に限らず一人でも多くの方にこの気づきを持ち帰っていただけるよう努力しています。 小さな活動で大きな意識を…
それができた時、私たちは本当にこの仕事に誇りを感じると思います。

スタッフメモ

この場を借りて…
ツアー中にゴミ拾いを手伝ってくれたお客様や子供達へ
本当に感謝しております。ありがとうございました。(ガイドスタッフ一同)